業務マニュアル作成のヒント
マニュアルに ”完成 ”はない
マニュアルは業務を学ぶための有効な研修ツールです。そのため、どの企業や組織にも内容の差はあるにしろ、何らかのマニュアルが存在していることでしょう。しかし、活用されているかどうかとなると、疑問符がついてしまうのではないでしょうか。
マニュアルづくりには、相当の労力が必要とされます。一所懸命に作り上げても、できた時点から内容の陳腐化が始まります。「今の仕事のやり方」がベストであり続けることはありません。日々改善し続けることで、仕事の質は高まっていきます。マニュアルもそれと歩調を合わせながら、改定していくことで鮮度を保つことができるのです。
今あるマニュアは完成品ではなく、業務に携わる人がより良くしていくために存在していることを知ってもらいましょう。そして、マニュアルが常に最新の状態を保ちやすいような工夫を考え、実行していくことが大切です。マニュアル作りとその更新作業も、有効なトレーニングになりますので、大いに活用しましょう。
マニュアルに求められるもの
マニュアルは業務を的確に効率よく遂行するための手引書です。そのためには、「内容が正確」で、「わかりやすく」表現され、「情報が新しい」ことが必要です。特に情報が更新されていないと、マニュアルは使われなくなり、業務効率の低下や品質の悪化にもつながりかねません。
「内容が正確」 ⇒ 信頼されるマニュアル
マニュアルが重要なものだと認識されれば、記載内容にも十分な配慮がされ、間違いが生じないようになっていきます。質の向上を図るためには、現場の実務担当者の知恵を取り入れ反映させることが必要です。
また、制作者、改定者の名前も明記し、責任感と達成感の両方をバランスよく感じてもらうことも大事です。制作したマニュアルの”発表の場”(ex.『マニュアル・アワード』)をつくり、脚光をあてるのも一つの方法です。
「わかりやすく」 ⇒ わかりやすいマニュアルを作成
わかりやすいマニュアルをつくるためには、情報量を必要最低限に削り落し、できるだけシンプルなつくりにします。図やイラストで表現した方が良さそうなものは、そのように対応します。カタチになったものを何度も見なおせば、不要な情報を削っていくことができます。
「情報が新しい」 ⇒ 更新(改定)しやすいマニュアル
マニュアルに記載された情報を陳腐化させないためには、”改定しやすいマニュアル”づくりと改定責任者を明確にする必要があります。また、更新された情報の発信をもれのないように伝えるためのしくみも準備しておきましょう。
業務マニュアル体裁についてのヒント
A4サイズで統一しましょう
4辺に余白を設けましょう
各辺20mmの余白をとれば、とじるためのパンチ穴を開けても、本文にかかりません。また、左右20mmずつとることで、左右対称のページになります。
左右非対称のページデザインは避けましょう
片寄せデザインは左右ページの入れ替えが難しくなります(デザイン変更等が必要)。左右どちらのページにも配置可能であでれば、改定がやりやすくなります。
工程をA用紙 1枚にまとめましょう

業務マニュアル内容についてのヒント
表記はシンプルにしましょう
文章は少なく、ポイント(コツ)を的確に表示
絵、図、画像、イラスト等を効果的に使いましょう
業務の概要を記載しましょう
・業務の目的
・インプットするもの
・アウトプットするもの
・必要工数 ex. 初級者45分 中級者30分 上級者20分
・コスト イニシャルコスト、ランニングコスト等
各工程のつながりを記載しましょう
「前工程」、「後工程」をどこが担当しているか、わかるようにしましょう
改定、更新の理由を明記しましょう
マニュアルをなぜ変えたのか、理由が記載されていると、理解がしやすくなります
制作日、改定日を記載しましょう
制作者、改定者の名前を記載しましょう
当事者の意識高揚にもなり、内容についての確認もしやすくなります
左右非対称のページデザインについて
左右非対称のページデザインは・・・

上図の場合、ページの外側上部に見出し(第一章)がデザインされ、ページ外側下部にノンブル(ページ番号)が打たれています。内容の大幅な改定を想定しないのであれば、デザイン性の高いものが作れ、良いでしょう。
左右非対称のページデザインのままページを入れ替えると・・・



社内で使用するマニュアル等は、業務効率向上を常に追い求めていますから、改定する必要がでてきます。ページ内を変更するレベルだと支障はありませんが、ページを入れ替えたり、新規挿入、ページ削除等がでてくると、ページレイアウトに大きく影響してきます。たとえば、ページ個々のデザインを変更せずに、ページの入れ替えをやると、上の3例のように、見た目がおかしくなってしまいます。マニュアルの内容自体も、左右どちらかに寄っているケースがよくあるので、見にくくなってしまいます。
ページデザインからをやり直すには、時間とコストが大きくかかってしまいます。常に更新を求められるようなものは、改定のしやすさも十分に検討しておく必要があります。 ※制作物の企画を考える際、必ず更新の必要性有無を考慮するようにしましょう。企画段階でしっかりとした構想をもっていないと、後で修正するにはロスが大きくなってしまいます。